宅建は職業訓練で取れる!費用無料のコースや給付金の条件を解説
失業中で金銭的な余裕がないけれど、宅建を取得して再就職を有利に進めたいと考えていませんか。独学では合格できるか不安だし、かといって数十万円もするスクールに通うお金はない、というのが本音だと思います。実は、ハローワークの職業訓練を活用すれば、授業料無料でプロの講義を受けられるチャンスがあります。
ただ、公共職業訓練と求職者支援訓練の違いや、もし選考や試験に落ちた場合のリスク、面接での倍率など、事前に知っておくべき落とし穴も少なくありません。この記事では、制度の仕組みから合格するための具体的な対策、そして実際に申し込む際の手順まで、情報を余すことなくお伝えします。
この記事で分かること
- 受講料無料で宅建を学べる職業訓練の仕組みと種類の違い
- 申し込みから受講開始までの具体的な5つのステップ
- 月10万円の給付金をもらいながら通うための条件と審査基準
- 高倍率の選考を突破するための面接対策と志望動機の作り方
- 訓練校や試験に落ちた場合に備えるリスク回避のセカンドプラン
宅建が取得できる職業訓練の制度と種類
まずは、どのような制度を使えば無料で宅建の勉強ができるのか、その全体像を整理しましょう。一言で「職業訓練」と言っても、あなたの現在の状況によって利用できるコースや受けられる給付金の種類が大きく異なります。ここで選択を間違えると、「せっかく合格したのに給付金がもらえなかった」なんてことになりかねないので、しっかりと違いを理解しておくことが大切です。
公共職業訓練と求職者支援訓練の違い
職業訓練には大きく分けて「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があります。
まず「公共職業訓練」は、主に雇用保険(失業保険)を受給している人が対象です。会社を辞めて失業保険をもらっている最中であれば、こちらに該当する可能性が高いです。この訓練の大きなメリットは、受講している間は失業保険の給付期間が延長されたり、別途手当が支給されたりする場合があることです(※雇用保険を受給していない方でも、ハローワークが必要と認めれば受講できるケースがあります)。
一方、「求職者支援訓練」は、雇用保険を受給できない人、あるいは受給期間が終了してしまった人が主な対象です。例えば、フリーターの方や、自営業を廃業された方、専業主婦(夫)から再就職を目指す方などが当てはまります。こちらは「ハロートレーニング」とも呼ばれ、多くの宅建コースがこの枠組みで実施されています。
簡単な見分け方
- 失業保険がある人 → 主に公共職業訓練(給付延長などのメリットあり)
- 失業保険がない人 → 主に求職者支援訓練
どちらも「受講料は無料」という点は共通していますが、自分がどちらの対象になるかによって、申し込みの手続きや給付金の有無が変わってきます。まずはハローワークの窓口で、自分のステータスを確認することから始めましょう。
失業保険や給付金を受給できる条件

お金の心配をせずに勉強に打ち込むために、最も重要なのが「給付金」の存在です。特に雇用保険がない人が求職者支援訓練を受ける場合、一定の要件を満たせば「職業訓練受講給付金」として月額10万円と通所手当(交通費)などが支給される可能性があります。
この給付金をもらうための条件は細かく設定されています。主な要件としては以下のようなものがあります。
- 本人収入が月8万円以下であること
- 世帯全体の収入が月30万円以下であること
- 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していないこと
- 全ての訓練実施日に出席すること(やむを得ない理由でも8割以上の出席が必要)
特に注意したいのが「出席率」です。この制度は、あくまで「本気で就職したい人」を支援するためのものなので、遅刻や欠席には非常に厳しいです。一度でも無断欠席をすると、その月の給付金が全額不支給になるだけでなく、最悪の場合は退校処分になるリスクもあります。
注意点
給付金は「誰でももらえる生活費」ではなく、あくまで「訓練を受けるための支援」です。不正受給には3倍返しなどの重いペナルティがあるため、申請内容は正直に申告しましょう。
東京や大阪など地域別の募集状況
宅建の職業訓練を探す際、最も大きな壁となるのが「地域格差」です。残念ながら、全国どこでも宅建のコースが開講されているわけではありません。
東京都や大阪府、愛知県、福岡県といった大都市圏では、年間を通じて複数のコースが募集されていることが多いです。これは、不動産業界の求人数が多く、再就職の見込みが高いと判断されるためです。一方、地方都市では宅建コース自体が存在しないか、あっても年に1回だけというケースが珍しくありません。
もし自分の住んでいる地域で募集がない場合、隣接する都道府県の訓練校に通うことも可能ですが、通学時間の条件(例えば片道2時間以内など)をクリアする必要があります。まずは「ハローワークインターネットサービス」を使って、自分のエリアで「宅建」や「不動産」というキーワードで検索をかけてみてください。検索する際は、募集期間が過ぎているコースも含めてチェックすると、例年の開講時期の目安がつかめますよ。
申し込みから受講開始までの5ステップ

制度の仕組みがわかったところで、実際に受講するためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。申し込みから入校までは意外と工程が多く、時間がかかります。一般的な流れは以下の通りです。
- ハローワークで職業相談
まずは管轄のハローワークに行き、求職登録を行った上で「職業訓練を受けたい」と相談します。 - コース選びと見学会
希望する訓練校の見学会(説明会)に参加します。校風や講師との相性を確認するため、これはほぼ必須と考えましょう。「思っていたのと違う」というミスマッチを防ぐためにも重要です。 - 受講申込書の提出
ハローワークの窓口で受講申込書を提出します。証明写真などが必要になるため、余裕を持って準備しましょう。 - 選考試験(面接・筆記)
訓練校で実施される面接と筆記試験を受けます。 - 合格発表・入校手続き
合格通知を受け取ったら、指定の日にハローワークで入校手続き(受講指示)を受け、訓練開始となります。
自己負担となるテキスト代と費用
「職業訓練は無料」と聞くと、完全に0円で通えると思いがちですが、実は自己負担が発生する部分があります。それが「テキスト代」です。
受講料自体は国や自治体が負担してくれるため無料ですが、授業で使用する教科書や問題集の実費は、受講生が支払う必要があります。宅建コースの場合、テキスト代の相場はだいたい1万円〜2万円程度です。市販のテキストを使うこともあれば、訓練校(資格スクールなど)のオリジナル教材を購入することもあります。
また、訓練中の交通費については、要件を満たせば「通所手当」として支給されますが、上限額が決まっている場合もあるので注意が必要です。その他、資格試験を受けるための受験料(7,000円〜8,000円程度)や、試験会場までの交通費、昼食代などは自己負担となります。
それでも、他の学習方法と比較するとそのコストパフォーマンスは圧倒的です。それぞれの違いを表にまとめました。

| 項目 | 職業訓練 | 独学 | 資格スクール |
|---|---|---|---|
| 費用 | 無料 ※テキスト代等は実費 |
1〜2万円 ※テキスト代のみ |
10〜30万円 |
| 期間・拘束 | 平日毎日 ※時間固定(9時-16時等) |
自由 ※自己管理が必須 |
週1〜2回 ※またはWeb通信 |
| サポート | 講師への質問可 就職支援あり |
なし | 手厚い 合格保証制度など |
豆知識:資格スクールの有料講座との違い
一般的な資格スクールに通うと20万円〜30万円かかりますが、職業訓練ならテキスト代のみ。浮いた費用を試験直前の模擬試験代や、就職活動のスーツ代に回すこともできます。
訓練期間と学習のリアル
宅建コースの訓練期間は、コースによって異なりますが3ヶ月から6ヶ月程度が主流です。
宅建の本試験は毎年10月の第3日曜日に行われます。そのため、訓練コースの多くは、この試験日に合わせてカリキュラムが組まれています。例えば、4月や5月に開講して9月〜10月に修了するコースが人気です。
しかし、中には試験日とは全く関係のない時期に終了するコースもあります。例えば、12月に修了するコースの場合、次の試験まで10ヶ月近く空いてしまうことになります。こうなると、訓練で学んだ知識を試験本番まで維持するのが難しくなります。
また、訓練期間中は「超短期集中型」で詰め込み学習を行います。法律知識ゼロの状態から数ヶ月で合格レベルに持っていくため、授業進度は非常に早いです。「授業を聞いていれば受かる」という甘いものではなく、毎日の自宅での復習がなければ合格ラインには届かないという現実は覚悟しておきましょう。
「とりあえず資格が取れればいい」と安易に申し込むのではなく、「訓練終了から試験日までのスケジュール」と「学習時間の確保」をしっかり確認することが重要です。
宅建の職業訓練に合格するための対策
「無料ならとりあえず申し込んでみよう」と考える人は多いですが、実は宅建コースは非常に人気が高く、選考試験(面接や筆記)を突破しなければ受講することができません。ここでは、激戦を勝ち抜いて訓練の座席を勝ち取るための具体的な対策について解説します。
人気コースの倍率と難易度
宅建の職業訓練は、事務職や未経験からの転職を目指す女性や、再就職を狙う中高年層に非常に人気があります。そのため、募集定員に対して応募者が殺到し、高倍率になることも珍しくありません。
特に、試験直前の時期に開講されるコースや、都心のアクセスの良い訓練校は激戦区です。選考は通常、「筆記試験(国語・数学などの基礎学力)」と「面接」で行われます。筆記試験はそれほど難しくないことが多いですが、点数が低すぎると足切りされる可能性があります。
しかし、合否を分ける最大の要因は間違いなく「面接」です。どんなに学力があっても、面接での受け答えが不十分だと、「この人は就職する気がない」と判断されて落とされてしまいます。
面接で問われる志望動機と回答例

職業訓練の選考面接で最も重視されるのは、「就職意欲の高さ」です。ハローワークや訓練校のゴールは、あなたに資格を取らせることではなく、あなたを「就職させること」だからです。
よくあるNG回答は、「宅建の資格を取りたいからです」「スキルアップしたいからです」というもの。これだけでは、「じゃあ独学でやれば?」と思われてしまいます。
合格するためには、以下のような構成で志望動機を伝えるのがベストです。
面接で刺さる志望動機の構成
- 目標の提示:不動産業界の営業職(または事務職)への再就職を強く希望しています。
- 課題の認識:しかし、未経験であるため、今のままでは採用されるのが難しいと感じています。
- 訓練の必要性:そのため、この訓練で宅建資格と実務知識を身につけ、即戦力として活躍できる人材になりたいと考えています。
- 就職への覚悟:資格取得後は、すぐにでも就職活動を行い、早期の再就職を実現させます。
「資格さえ取れればいい」という態度は隠し、「就職するための手段として訓練が必要だ」というロジックを一貫させることが、合格への近道です。
選考試験に落ちた場合の対処法

どれだけ対策をしても、定員がある以上、落ちてしまう可能性はあります。もし不合格通知を受け取ったとしても、そこで人生が終わるわけではありません。すぐに「プランB」に切り替えましょう。
まず、別の職業訓練コースを探す方法があります。宅建単体のコースではなく、「OA事務科」や「FP(ファイナンシャルプランナー)養成科」などでも、不動産関連の知識を学べる場合があります。
次に、「教育訓練給付制度」を活用して、民間の通信講座やスクールを安く受講する方法です。これは職業訓練とは別の制度で、ハローワークに申請して条件を満たせば、受講料の20%(上限10万円)が支給されます(一般教育訓練給付制度)。
完全無料ではありませんが、数万円の自己負担で質の高いカリキュラムを受けられるため、独学よりも合格率は格段に上がります。「落ちたらどうしよう」と不安になるよりも、「落ちたらこの通信講座を使おう」と決めておくことで、精神的な余裕も生まれます。
(出典:厚生労働省『ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)』)
就職に有利なPCスキルと学習環境
宅建の職業訓練に通う大きなメリットの一つに、「周辺スキルの習得」があります。多くの宅建コースでは、法律の勉強だけでなく、WordやExcelといったパソコンスキルの授業もカリキュラムに含まれています。
実務の現場では、重要事項説明書の作成や顧客管理など、パソコンを使う機会が非常に多いです。特に未経験から不動産業界への転職を目指す場合、「宅建を持っています」だけよりも、「宅建を持っていて、契約書類の作成もPCでスムーズに行えます」とアピールできる方が、採用担当者の評価は圧倒的に高くなります。
また、独学にはない大きなメリットとして「クラスメイトの存在」があります。年齢や経歴は違えど、「再就職」という同じ目標を持つ仲間と励まし合い、情報交換することは、孤独になりがちな求職活動において大きな精神的支えとなります。
もし受講するコースにPCの授業がない場合は、訓練期間中に並行して独学でPCスキルを磨いておくことを強くおすすめします。それが、ライバルとの差別化につながります。
宅建の職業訓練で再就職成功させる

職業訓練を活用して宅建を目指すことは、金銭的なリスクを抑えながら人生を好転させるための非常に賢い選択です。しかし、そこには「選考倍率」や「厳しい出席要件」、「試験日とのスケジュールのズレ」といったハードルも存在します。
大切なのは、訓練校に入ることがゴールではなく、「資格を取って、安定した仕事に就くこと」を最終目標に据えることです。そのためには、面接対策を徹底し、万が一落ちた場合の代替案も用意しておくなど、戦略的な準備が欠かせません。
今の無職期間は、決して無駄な時間ではありません。この制度をフル活用して、次のキャリアへの切符を掴み取りましょう。まずは管轄のハローワークへ行き、窓口で「宅建の訓練に興味がある」と相談することから、あなたの新しい一歩が始まります。




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