宅建の仕事内容とは?独占業務から年収・将来性まで徹底解説
「宅建を取ると、具体的にどんな仕事をするの?」
「資格を持っているだけで給料が上がると聞いたけれど、本当?」
「AIが進化しても、宅建士の仕事はなくならない?」
就職や転職に有利な資格として圧倒的な人気を誇る「宅建(宅地建物取引士)」。
しかし、実際に現場でどのような業務を行っているのか、その詳細まで理解している人は意外と少ないかもしれません。
実は、宅建士の仕事は単なる事務作業だけではなく、専門知識を活かしたコンサルティングや、人生の大きな決断を支えるやりがいのある業務です。
この記事では、宅建士だけが許された「独占業務」の解説から、業界別のリアルな働き方、そして気になる年収や将来性までを網羅的に解説します。
この記事で分かること
- 宅建士にしかできない3つの「独占業務」の詳細
- 不動産業界以外でも活躍できる具体的なフィールド
- 「きつい」と言われる理由とリアルな1日のスケジュール
- AI時代における宅建士の将来性と平均年収の現実
宅建の仕事内容とは?3つの独占業務を解説

宅建(宅地建物取引士)がなぜこれほどまでに重宝されるのか。
その最大の理由は、法律によって定められた「宅建士にしかできない3つの独占業務」が存在するからです。
不動産取引は非常に高額であり、法律の知識がない一般消費者が不利益を被るリスクがあります。
そのため、国は「専門家である宅建士が必ず関与すること」を義務付けており、以下の3つの業務は無資格者が行うことを禁じています。
①重要事項の説明(契約締結前)
不動産の売買や賃貸契約を結ぶ「前」に、物件や取引条件に関する重要な情報を顧客に説明する業務です。
「この土地にはどのような建物が建てられるのか」「ガスや水道の設備はどうなっているのか」「契約解除の条件は何か」など、宅地建物取引業法で細かく定められた、契約判断に直結する内容を、宅建士証を提示した上で説明しなければなりません。
もし説明に不備があり、顧客が損害を受けた場合は、宅建士自身が法的責任を問われることもある、非常に責任の重い業務です。
②重要事項説明書面(35条書面)への記名
口頭での説明だけでなく、説明内容を記載した書面(重要事項説明書)を作成し、そこに宅建士が記名する必要があります。
これは「私が責任を持って説明しました」という証明であり、書類の内容に誤りがないことを担保する行為です。近年ではIT重説(テレビ会議システム等を使った説明)も解禁されましたが、最終的な責任の所在を明らかにする記名業務の重要性は変わりません。
③契約内容を記した書面(37条書面)への記名
重要事項の説明が終わり、無事に契約が成立した後に交付される契約書(37条書面)にも、宅建士の記名が必要です。
契約書には代金の支払い時期や引渡しのタイミングなど、取引の確約事項が記載されています。
なお、35条書面(重要事項説明書)とは異なり、37条書面には法的な「説明義務」はありませんが、記名義務は課せられています。この書面に不備がないか最終確認を行い、記名することで、公正な取引であることを証明します。
なお、2022年の法改正により、これまで必須だった「押印(ハンコ)」が廃止され、宅建士の「記名」のみで手続きが可能になりました。
これにより、Zoomなどを使った「IT重説」や電子契約が本格的に普及し、自宅にいながら独占業務を行うリモートワークという新しい働き方も生まれています。
このように、宅建士は不動産取引の「入口(重要事項説明)」から「出口(契約締結)」までを一貫して管理する、まさに取引の要(かなめ)といえる存在です。
不動産業界だけじゃない!宅建資格が活かせる業界と仕事内容

宅建の仕事内容というと「不動産屋さんの店先でお客さんを案内する姿」をイメージする方が多いでしょう。
しかし、実際には不動産業界の中にも様々な業種があり、さらには不動産業界以外でも宅建資格は高く評価されています。
ここでは、代表的な4つのフィールドにおける仕事内容の違いを見ていきましょう。
①不動産流通業(売買仲介・賃貸仲介)
最も一般的な就職先です。
家を借りたい・買いたい個人や企業に対して物件を紹介し、契約までをサポートします。
- 売買仲介:土地や戸建て、マンションの売買を仲介します。動く金額が数千万〜数億円と大きく、専門的な知識と高い交渉力が求められます。成果報酬型の給与体系が多く、高収入を狙いやすいのが特徴です。
- 賃貸仲介:アパートやマンションの部屋探しをサポートします。回転率が高く、多くのお客様と接するため、スピード感とコミュニケーション能力が重視されます。
②不動産管理会社
オーナーから預かった物件の維持・管理を行う仕事です。
入居者の募集から契約更新、退去時の精算、クレーム対応、建物のメンテナンス手配などを行います。
管理業務では定期的な「契約更新」が発生するため、その都度書類作成や手続きを行う宅建士の出番が多くなります。
また、管理業務主任者という別の資格と業務内容が近いため、ダブルライセンスを目指す人も多くいます。
③ハウスメーカー・建築会社
自社で建築した戸建てやマンションを販売する際、契約業務を行うために宅建士が必要となります。
建築の知識と不動産取引の知識の両方が求められるため、宅建士資格を持っている営業担当は信頼されやすく、成約率アップに繋がります。
④金融機関(銀行・信託銀行)
意外に思われるかもしれませんが、金融機関でも宅建資格は非常に重視されます。
銀行が行う融資の多くは、土地や建物を担保(借金のカタ)にしてお金を貸します。
その際、「この不動産にはどれくらいの価値があるのか」を正しく評価(担保評価)するために、不動産の法規制や権利関係に詳しい宅建士の知識が必要不可欠なのです。
また、信託銀行では不動産の売買仲介業務そのものを行っていることもあり、即戦力として扱われます。
営業だけじゃない!女性や未経験も活躍できる「宅建事務」という働き方

「宅建=バリバリの営業職」というイメージが強いかもしれませんが、実はそれだけではありません。
営業ノルマのない事務職や、ライフスタイルに合わせたパート勤務など、多様な働き方が選べるのも宅建の大きな魅力です。
①営業ノルマのない「宅建事務」
営業担当のサポートとして、重要事項説明書の作成や契約手続きを専門に行う仕事です。
営業マンは外回りに専念したいため、手続き周りを完璧にこなしてくれる宅建持ちの事務スタッフは重宝されます。
「営業は苦手だけど、コツコツとした作業や法律知識を活かす仕事が好き」という方に最適で、専門職として安定して働けます。
②パート・アルバイトや女性の活躍
重要事項説明だけをスポットで請け負う働き方や、週数回のパート勤務など、雇用形態も柔軟です。
また、不動産業界は今、女性が非常に活躍しやすい環境に変わってきています。
住まい探しにおいて「生活者目線」を持つ女性のアドバイスは喜ばれやすく、結婚や出産後の復職もしやすいため、長く働ける資格として女性人気も急上昇しています。
宅建士の1日の流れと「きつい」と言われる理由

華やかなイメージのある宅建士ですが、実際の現場では「きつい」「大変」と言われる側面もあります。
ここでは、不動産売買仲介の営業職を例に、リアルな1日の流れと仕事の厳しさについて解説します。
ある宅建士(売買仲介)の1日(イメージ)
あくまで一例です。職場によってはもっと早く帰れる場合もあれば、もっと遅くなる場合もあります。
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 9:00 | 出社・メールチェック・掃除 |
| 10:00 | 役所調査(物件の法規制などを調べるため役所へ) |
| 13:00 | 昼食 |
| 14:00 | 物件の写真撮影・Webサイトへの登録作業 |
| 16:00 | お客様への追客電話・メール対応 |
| 18:00 | 重要事項説明書の作成(細かい確認作業) |
| 19:00 | お客様の仕事終わりに合わせて商談・内見案内 |
| 20:30 | 帰社・翌日の準備をして退社 |
ここが「きつい」!独占業務の裏側
このスケジュールを見て分かる通り、宅建士の仕事内容は、独占業務だけを行っていれば良いわけではありません。
特に以下の点は、実務に就いてから「大変だ」と感じやすいポイントです。
- 土日祝日が休めない:お客様が動く週末が書き入れ時のため、基本的に土日は仕事です。友人と予定が合わせにくいという悩みはよく聞かれます。
- 膨大な調査と事務作業:重要事項説明書を作成するには、役所や法務局で大量の資料を集め、一言一句間違いがないように作成しなければなりません。1つのミスが損害賠償に発展する可能性もあり、精神的なプレッシャーがかかります。
- 成果主義のプレッシャー:特に営業職の場合、契約が取れないと給料が上がりにくい会社もあります。独占業務ができるからといって、営業ノルマが免除されるわけではないケースが一般的です。
- クレーム対応と板挟みのストレス:「設備の故障」や「近隣トラブル」などの相談は、窓口である宅建士に来ることが多いです。オーナーと入居者の板挟みになることもあり、精神的なタフさが求められます。
しかし、この「責任の重さ」こそが、宅建士が高い報酬と社会的地位を得られる理由でもあります。
自分の説明一つで、お客様が安心してマイホームを購入できるかどうかが決まるため、完了した時の達成感は他の仕事では味わえないものです。
宅建士の年収と将来性|AIに仕事内容は奪われる?

苦労して資格を取得する以上、気になるのは「お金」と「将来」の話です。
宅建士の資格は、今後のキャリアにおいてどれくらいの武器になるのでしょうか。
宅建士の平均年収と資格手当
不動産業界の平均年収は、他の業界と比較しても高めの水準にあります。
厚生労働省などの統計や一般的な求人データを見ると、宅建士の平均年収は400万円〜600万円程度がボリュームゾーンですが、成果報酬型の営業職であれば、成績次第で20代でも年収1,000万円を目指すことは可能です。
また、多くの企業で「資格手当」が支給されます。
相場は月額1万円〜3万円程度。仮に月2万円だとすれば、年間24万円、10年間で240万円もの差がつきます。
これは、ただ資格を持っているだけで得られる収入としては非常に大きなメリットです。
なぜ未経験でも採用されるのか?「設置義務」の強み
不動産会社は法律により、事務所の従業員5名につき1名以上の専任(常勤)の宅建士を設置する義務があります。
この人数を割ると営業ができなくなるため、企業にとって宅建士は「いないと会社が潰れる」レベルの必須人材です。
この圧倒的なニーズがあるため、実務未経験であっても資格を持っているだけで採用選考が有利に進み、不況下でも安定して働き続けることができます。
AI時代における宅建士の価値
「書類作成や単純な説明業務は、将来的にAIに代わられるのではないか?」
このような不安を感じる方もいるかもしれません。
確かに、契約書の作成や物件情報の検索といった定型業務は、今後AIによって自動化が進むでしょう。
しかし、宅建士の仕事内容の本質は「書類を作ること」ではありません。
お客様の複雑な事情を汲み取り、法律知識をベースに最適な解決策を提案する「コンサルティング能力」や、大きな決断に迷うお客様の背中を押す「信頼関係の構築」は、AIには代替できない人間ならではの領域です。
また、重要事項説明の最終的な責任者が「ヒト(宅建士)」であるという法的な枠組みは、当面の間変わることはないと考えられています。
むしろ、AIが事務作業を効率化してくれることで、宅建士はより付加価値の高い提案業務に集中できるようになり、その専門性はますます高まっていくでしょう。
宅建の仕事内容に向いている人の特徴

最後に、どのような人が宅建士として活躍できるのか、その適性について整理します。
もしこれらに当てはまるなら、あなたは宅建士としての素質が十分にあります。
- 責任感が強く、正確な作業ができる人:
高額な取引に関わる書類作成では、ミスが許されません。細部まで注意を払える几帳面さは大きな武器になります。 - 人と話すことが好きで、聞き上手な人:
一方的に説明するだけでなく、お客様の不安や要望を引き出す傾聴力が求められます。 - 学習意欲があり、法律や情報の変化に対応できる人:
不動産に関する法律や税制は頻繁に改正されます。資格取得後も常に新しい知識をアップデートし続ける姿勢が必要です。
現在、日本には約30万社の不動産業者が存在し、そのすべてに宅建士の設置義務があります(出典:宅地建物取引業法第31条の3)。
景気に左右されず、常に一定の需要があるこの資格は、あなたの人生を支える強力なライセンスとなるはずです。
まずは試験の概要をチェックし、合格への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。



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